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Microeconomics II

NO 67
科目名 Microeconomics II
対象 経済学研究科 高度グローバル人材コース(GPEM)修士1・2年生
担当教員 図斎 大(経済学研究科)
受講人数 6人
授業内容 ミクロ経済理論の修士課程初年度向けの概説。
授業形態 前の勤務校(米国の大学)で使い慣れていることもあり、米国で最も利用されているLMSであるCanvasの無料版をコースのポータルサイトとして利用(※)。https://www.instructure.com/canvas/
オンディマンド型の講義とし、最も重要な、あるいはどうしても動画で見せたいところのみをYouTube上のビデオにし、そのほかを後述のような形でのスライドショーの配布。
コンテンツのリストの仕方や課題・テスト提出の設定を含め、これらはCanvasなら一括してファイルに保存可能。(Moodleと互換するファイル形式もある。)来年度以降に対面授業が再開した時に、反転授業のコンテンツを充実させるために再利用する予定。
※ 7月赴任でその1週間後には講義期間が開始するため、赴任前からコースウェブサイトを用意しておきたかった。しかしGoogle classroomを含めた東北大のシステムへのアクセス権を得たのは赴任日だった。(ちなみに個人のGoogleアカウントで作ったGoogle classroomを、東北大として作ったGoogle classroomにエクスポートすることはできないようだ。)そのため東北大学で提供されているものと別に教員自身でLMSを用意する必要があった。同様の状況ならば、あるいは外部からの非常勤講師に集中講義をお願いするときには、それもひとつの手だろう。
ちなみに、Canvasは中国本土でも利用可能なようだ。https://knight.as.cornell.edu/guidance-faculty-getting-staying-connected-intl-students
使用LMS Canvas+YouTube
評価方法 反転授業形式としてデザインし、事前の予習状況を確認するための小テスト、演習問題の回収・コメント返却、学生との質疑応答、また期末試験に相当する理解度確認テストはCanvas上のクイズ・掲示板機能を活用。(公開日時も設定でき、問題形式も豊富。)
テスト等の受験中のモニタリングはしなかったが、後述の通り受験者のIDの確認は行った。
工夫した点
・日本の学生に関してインターネット受信のキャパシティーがあまり充実しておらず、ビデオも必ずしも推奨されていないと聞いたので、コアなところを除き、できるだけパワーポイントのスライドショーを利用した。録音にしてもファイル容量は大きくなるので、本来であれば口頭で説明するところをテキストボックスの吹き出しのような形で随時表示するようにした。
動画だと15分程度で携帯電話の画質でも300MBであり、音声をかぶせたパワーポイントも基本的には動画と変わらない。この方式だと完全にテキストのみの説明であり、普通のパワーポイントのスライドなので数MBで抑えられる。 より具体的には、テキストボックスを基本的にワンクリックで消える設定で追加。
(塗りつぶしのカラーを付けたうえで、白字にすると、元のスライドの本文にかぶらせても吹き出しは読める。他方で、塗りつぶしを半透明にすると、下も少し透ける。そうしたかぶらせ方で、吹き出しが本文と差別化されて、少し動的な印象になるかと思う。)プレゼンテーション形式で配布し、受講者は自分自身でクリックしながら説明を受ける。
・スライドショーを眺めるだけでノートも取らないとなると、身体的な刺激がなく、どうしても眠くなってしまう。(それはオンラインでなくても。)スライドの外で受講者自身で考えるところを設けるのは定石として、さらにスライド内でも随時、穴埋め形式にした。
それを平易にする(別ファイルで穴のあるものを作らない)ための工夫は以下の通り。ざっというと子供の絵本で、別の紙を各ページの下に潜り込ませると字や絵が浮き出てくるものと同じ原理。http://www.gakuyosha-p.co.jp/special/tanken/index.html
1. 穴埋めさせたいところを白字にする。(この書くところの背景は透明、つまり)白でもなく、色の塗りつぶしなしにする。)当然、このままでは読めない。
2. その上に色のついた長方形のオブジェクトをかぶせる。(このボックス自体には何も書かない。単なる色のついた長方形。)これからのステップで、長方形の上に先の白字が浮かび上がるようにし、他方で学生に配布するバージョンのほうではこの長方形が現れずに白字が見えないようにする。
3.穴埋めの答えをアニメーションで出したいのなら、この長方形の表示される(=穴埋めの答えが見える)タイミングを今ここで設定する。
4.「表示」からグレースケールモードに切り替える。それで出てくる「グレースケール」タブで本文の入るオブジェクトを「グレースケール」に、当該の長方形オブジェクトを「グレーと白」に設定。(もしも穴埋めの枠を表示させたくなければ、「表示しない」に設定。)後述のように受講者にはグレースケールのバージョンを配布する。ここでのオブジェクトごとの表示の設定によって、カラーのバージョンと違って、穴埋めの答えが見えないようになる。(本文のほうの設定を忘れて「自動」の設定のままだと、白字のところは白黒のときにわざわざ黒で表示されてしまって、隠れてくれない。) ちなみにここまで設定した長方形の複製を作っておいて、他の穴埋めする箇所に流用すれば、これまでのステップは飛ばせるので便利。
5. 再度、カラー表示に戻す。長方形の位置やサイズを穴埋めしたいところにぴったり合わせた後に、本文の背後に回り込ませる。そうすると白字になっていた穴埋めの答えが色付き長方形の上に浮き上がってくる。(他方で、この長方形オブジェクトが本文の下に来るので、以後は長方形オブジェクトをマウスのクリックで指定することは難しくなる。煩雑になるが範囲指定で選ぶことになる。)
6. このパワーポイントファイルを「印刷」メニューから、Microsoft Print to PDFやAcrobatなどのpdf疑似プリンターソフトウェアを使って、グレースケールでpdfに「印刷」。(「エクスポート」からのpdf出力ではグレースケールで出力できないため。)
このpdfには穴埋め個所は穴のままになっている。学生にはスライドショーをプレゼンテーション形式(.ppsx)で配布するとともに、印刷用としてpdfも配布し、そのpdf(あるいはそれを印刷したもの)でノートをとるよう指示。 ちなみに前項の吹き出し用テキストボックスも印刷用pdfからは除いた。そのためにこのpdfの出力をする前に、複製のファイルを作ったうえで吹き抜けのテキストボックスはすべて削除した。(穴埋めの答えを出すためのカラーボックスを、グレースケールモードで「表示しない」にするのが最も簡単。しかしそれでも文字だけは表示されてしまう。吹き出しの文字が白でなければ文字だけはそれでも残る。白字にすればたしかに消えるのだが、プレゼンテーション本体と吹き出しの文字が被るところでは、本体のほうに白抜きになってしまう。) もちろんスライドショーのファイル自体を印刷することは可能だが、吹き出しがそこに残っていれば、印刷したものでは吹き出しがすべて現れた状態で出てきて本体にかぶってたりするので到底読めたものではないことに気が付く。
・試験の受験者が受講者本人であることを確認するために、学生証のIDとともに試験受験時の本人の写真をアップロードさせた。(ファイル提出型の質問への答えとして。)手順を熟知させるために、模擬試験は実施。他方で、事前に写真が準備できてしまえると、受験時には他人にやらせることがまだ防げない。そのため、写真については定められたポーズ(ピースマーク=Vサインを左手で作って、頬に当てるように、など)をするように指示。模擬試験でもポーズは取らせるが、本試験は別のものになることを予告。
反省すべき点
・余談や冗談はテキストにはしがたい(手間を考えるとなおさら)ので、どうしてもドライな講義になってしまう。YouTubeのほうでそれを補おうとはした。
・外部のLMSを利用するため、履修者のe-mail addressをこちらが把握しておく必要がある。また反転授業で予習が肝心となり、できるだけ早く受講者にコースの内容にアクセスさせるため、受講者には履修登録後すみやかにコンタクトをとるようにシラバス上でも要求していた。しかし、残念ながらシラバスの指示を遵守しないといけないという意識が多くの受講者の中であまり高くなかったように見受けられた。結果として、学務情報システムの掲示板機能で、コンタクトをまだ取っていないものにこちらから警告文を出して、それでようやくレスポンスを返してきたものが若干名いた。
その他気が付いたこと
・Canvasは教員個人単位では無料。有料版との機能の違いはそんなにないように思われる。ログインしたり新しくタブを開くたびに、チュートリアルの(昔のMSオフィスの「イルカ」のように)ポップアップが出てくるのが煩雑なくらいか。有料版は大学単位での契約。そうすると履修者の登録・管理が大学側で行える。
ただし、無料版では(あるいはどんな外部サービスでも)教員自身で履修者を手動で招待・登録する手間があるので、先述のように受講者とのコンタクトをどう取るかが問題になる。(受講者のe-mail addressを、東北大のアドレスでも教員が知るすべがないというのが想定外だった。)

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