科目名 | 教育心理学講義II |
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対象 | 教育学部 5セメスター(3・4年次学生) |
担当教員 | 深谷優子(教育学研究科) |
受講人数 | 33人 |
授業内容 | 文章理解(読解)の認知過程および読解学習,読書の心理学研究を概観した。 |
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授業形態 | 対面授業の要素を資料ベースの遠隔授業で実施するために,自習可能なように講義資料を作成し,学習した内容を説明する課題及び学生同士でコメントするピアレビュー活動(Google Forms利用)を取り入れた。課題およびコメント,加えて毎週のMinute Paper(Forms利用)を通じて学生の理解を確認し,質問・疑問,誤解等については適宜補足説明を加えた。 |
使用LMS | Google Classroom |
評価方法 | 授業での課題(50%)、レポート(50%)により評価した。前者は説明課題及びコメント,Minute Paperを、後者はポートフォリオ的に説明課題を再掲させてのリフレクションを評価対象とした。 |
工夫した点 | (講義資料の工夫)
・15回分のプリントを講義資料A~講義資料Cに3分割して、3回に分けてClassroomにて配布した。←課題のスケジュールおよび配布資料の質・量を勘案して決定した。
・従来配布していたプリントは、口頭での説明が前提であったため、全面的に加筆した。←口頭で説明していた内容をほぼすべて書き起こした。
・講義資料にQuizやCritical Thinking Questionsを追加した。←よりengagedな学習にする意図。
(課題の工夫)
・課題作成(Classroomの「課題」を利用)およびピアレビューでのコメント(Classroomの「テスト付きの課題」、Formsを利用)はいずれも筆名を用いた。←コメントにあたり人間関係に支障がでないか気にする学生が一定数いるため。
・提出された課題およびコメントは、全員で共有した。←より多様な意見に触れるため。
・課題の分量はA4版で2枚に制限し、どこに焦点を当てて課題を作成するかは学生にまかせた。←資料等をコピペしただけでは課題作成ができないように設定した。
・課題作成およびコメントの意図や悩んだことその他ピアに対する相談も書いてよいとした。←他の学生と交流する機会を設けるため。
(「おたより」(フィードバック)の工夫)
・毎週決まった時間に配布し、挨拶と小話から始まる導入とした。←学生が学習へと気持ちを切り替えやすいようにという意図。
・学生からの提出物(Minute Paperおよび課題やピアレビュー活動での状況、コメント)の内容は全員で共有した。←ほかの学生の考えを知りたいという声があったため、Minute Paperはほぼすべて掲載。いくつかをまとめ、それぞれ小見出しをつけて提示した。復習に利用するようにFormsでの回答はすべてコピーが学生にも送られる設定にした。
・質問や不明点、誤解については補足説明やfurther readingsを紹介した。←参照すべき箇所や資料は具体的に明記し、より適切な理解ができるように補助した。
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反省すべき点 | ・疑問をうまく表現できない場合や、資料を誤解している場合もまま見られたため、教員が提出物を丁寧に確認し、学生の疑問や誤解をすくい上げてフィードバックする必要があった。ただ、教員一人で対応していたため、読み落としてしまった部分がある可能性もある。
・この授業は、読んで理解すること、自分の考えを書いて表現することが得意でない学生にとってはきつい授業形態だったと思われる。 |
その他気が付いたこと | ・準備(講義資料の作成、課題の準備、スケジュール設定、提出場所の設定等)・実施(毎週の「おたより」作成・配布、提出状況等の確認と促し、筆名の管理、提出された課題集作成、コメント集作成等)に、対面授業の場合よりも多大な労力・時間が必要であった。→TA等手当がないと継続は厳しい。教員にしかできないこと、TAでも可能な作業とを切り分けて、分担して実施すれば円滑に運営できるのではないか。
・資料ベースの授業の場合、講義資料やおたより、課題集・コメント集等すべてがファイルとして手元に残るため、学習の軌跡が把握しやすい。
・「課題作成→ピアレビュー→課題修正」と提出物の修正の機会があるため、課題作成に当たっての学生の感じるプレッシャーがやや低かったようだ。
・ピアレビュー活動など、他の学生と(紙面上だが)交流する機会があったためか、総じて満足度は高かったようだ。
・課題や活動では筆名を用いたため、現実の友人関係をあまり気にせずにピアレビュー活動に従事できたとのこと。
・今回の授業の課題では、内容ではなく、編集作業に注力してしまう学生もいた。→編集作業の熟達も含めて、遠隔学習の学びととらえるべきか?
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